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女子大生「しょこたん」の農業(初)体験日誌

女子大生「しょこたん」の農業(初)体験日誌 [第2回]マルナオ園 市川初枝さん(後編)
マルナオ園 市川初枝さん

マルナオ園 市川初枝さん

初枝さんを見ると、たまにぶどうのつるをぷちっと取っています。
「このつるがね、いろんなところにからんで病気のもとになってしまうのよ。ぶどうのつるって、ぶどうの絵なんかには必ずと言っていいほど描かれているけど、実は危険な存在なんですよ(笑)。」
そうなんだ・・・!くるんと丸まって繊細なように見えるのに、そんな力の持ち主だったとは!
つるの話に驚いていると、「植物の生命力ってすごいよー。ほら、枝のいろんなところに根っこが見えるでしょう!」
え?根っこ?・・・あ!本当だ!

マルナオ園 市川初枝さん

なんで、枝から根っこが!?
「この根っこのところで切って、土に植えたら、それがまた大きいぶどうの樹になるんですよ。」
へえぇー、ぶどう、すごい!いつでも独り立ちするスタンバイOK!っていう感じでいろんなところから根っこを出しています。いやー、見習わなきゃ。

11:30
マルナオ園 市川初枝さん

そろそろ、お昼ごはんの準備です♪まずは井戸水で手を洗って・・・。蛇口をひねって少したつと出てくる地下の冷えた水が、冷たくて気持ちよくって、ほてった体がすーっと涼しくなりました。地上は暑くても、土の下の深ーいところはこんなに冷えているんですねぇ。

さあ、畑に材料を探しに行きましょう。まず登場したのは、背の高い大きな草のようなもの。
「ほら、みょうがだよー。」
え!?この草が??と思っていると、初枝さんが草の根元からみょうがを採って見せてくださいました。

マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

ただの草と思っていたものは、みょうがのお母さんなんです!竹の子のように、草のまわりに小さなみょうがが顔を出しています。赤ちゃんみょうがは、手ですっと簡単に採れました。

マルナオ園 市川初枝さん

次は、ズッキーニの畑です。スーパーでよく見かけるズッキーニは、ちょっと長めのナスと同じくらいの大きさ、ですよね?しかし!この畑のズッキーニは、すごいです。その10倍はあろうかという巨大ズッキーニ!!しかも、奥のほうには黄色のと緑の品種のものが自然交雑しちゃっていて、おばけズッキーニと化していました。根元をはさみで切って、収穫です。大物を釣り上げたような気分です(笑)。
畑には驚きがあふれていて、ほんとに楽しい。もちろん、私の知識が無いということでもあるのだけど、こうしていろいろ教えてくださる農家さんが近くにいるって、しあわせです。

マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

次は、米ナス。ころんと丸い米ナスは、ぷっくりつやつや、なんともおいしそうにたわわになっておりました。これもはさみで、チョキン。
となりにはプチトマト。
「ほら、おいしそうなの見つけて!」
赤く熟したのを見つけてぱくっと食べると、甘酸っぱさがぎゅーっとつまったお日さまの味!うーん、しあわせ。

マルナオ園 市川初枝さん

そのとなりはトマトも、食べごろの実をはさみで切って採ります。トマトを切るはさみは、刃の部分にカーブがついているんです。実に傷をつけないように、丸いほうを実に当てて切るんです。農家さんの使う道具には知恵がつまっているものがたくさんあるんですね。

マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

たくさんのハーブやお花の道を通って、名前や特徴を初枝さんに聞きながら、少し離れたところにある畑へ移動します。私のお気に入りのハーブは、「ラムズイヤー」というもの。「子羊の耳」という名前の通り、さわると、するするふかふかの白いうぶ毛が生えていて、気持ちいいんです♪ブルーベリーの横をとおるときは、「こうやってつまむときはね、ふたつずつ食べるって決まっているの。目にいいからね、右目と左目用ね!」と言う、初枝さんの楽しい決まりがあります。
到着した畑には、ふさふさ元気に育っている綺麗なバジルがありました。近くの青紫蘇も一緒に、お昼に使う分だけ摘んで、台所に向かいます。

マルナオ園 市川初枝さん

採ったばかりの野菜を洗いながら、初枝さんがぱぱっとメニューを決めています
「私はね、考えるのも作るのも速いの!トマトはパスタにしようね。じゃがいもをふかしておいたのにズッキーニを合わせて、チーズをかけて焼いたらおいしいよね!あとお豆腐のサラダにみょうがとしそをのせようか。」
今日のメニュー、決定♪ふかしたじゃがいもは、皮が赤い「レッドムーン」という品種のもの。あつあつを味見したら、さつまいものように甘くてしっとりほっこりしていて、それだけで最高においしいの!夏野菜の元気な色と、たちこめるいい匂いにうっとりしながらお手伝いしていると、初枝さんの言うとおり、あっという間に完成しました。
いただきます!

マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

トマトソースに生のトマトだけのシンプルなパスタは、熱が加わってますます甘くなったトマトの濃い味が広がって、採れたてのちぎったバジルの香りが心地よくって、あぁ、夏の醍醐味♪
つぶしてバターを溶かしたレッドムーンは、あの特大ズッキーニを炒めたものと一緒にチーズをかけられて、おいしいチーズ焼きになりました。
サラダにのったみょうがと紫蘇は、ぴりっとみずみずしい刺激が最高。さっきまで畑にいたんだもんね。お豆腐のまろやかさとよく合います。

マルナオ園 市川初枝さん

野菜が主役の、優しくておいしいお昼ごはん。90歳になられるという初枝さんのお義母さんも、私たちとほとんど同じ量をぺろりとお腹におさめていました。今も畑仕事に出られていて、この日の朝も1人でネギの定植をされたという、本当に元気なお義母さん!
「なーんでも食べるのがね、元気の秘訣。」と、こっそり教えてくださいました。

14:30
マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

さてさて、お腹いっぱいでしあわせになったところで、ぶどうのもとに戻りましょう。もうほとんどのぶどうに袋をかけていたので、かけ忘れたぶどうがないか確認して・・・、よし!袋がけ終了です。
初枝さんの案内で、もうひとつのぶどう畑へ。こちらは、もうすでに袋がけが終わっていたのですが、品種が違うということで、中のぶどうを見せてもらうことに。「紅伊豆」よりも皮がつやっとしていて、硬く張っている感じがしました。「藤稔」という品種で、収穫のときには、なんとゴルフボールくらいの大きさになるんですって!ぶどう界にそんな大物がいたとは・・・驚きです。

マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

この畑に、ふたつのカカシを発見しました。鳥が来ないためのもので、妹さんの手づくりなのだそうです。ぶどうにかけた袋にも「◎」の鳥よけのマークがあったし、鳥を追い払う音を出すための缶もあって、鳥はぶどうの天敵のようですね。初枝さんに尋ねると、カラスに1日で45個のぶどうを落とされたことがあるそうです。

マルナオ園 市川初枝さん

実がまだ小さい小さいときから、手間をかけてひとつひとつ丁寧に育ててきたぶどうがある日地面に落ちていたら・・・と考えると、何とも言えない悲しい気持ちですね。しかも、ぶどうは雨が降ると皮が割れてしまうことがあるそうで、天災に対処することも難しい、とお話されていました。紫色に熟したぶどうには、初枝さんたちの愛情や苦労や、カラスたちとの攻防や、いろんなドラマが隠れているんですね。

15:30
マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

ぶどうの袋がけが終わったので、リース作りの体験をさせてもらうことになりました。
ぶどうの枝のリース台に 、畑で採れたローリエやとうがらし、にんにく、くるみ、観賞用のとうもろこしを乾燥させたものをワイヤーでつけていきます。リース作りは初めてだったのですが、食いしん坊な私はほとんどの材料が食べられるもの、ということでうきうきしながら作り始めました(笑)。キッチンに吊るして飾っておけば、1ヶ月もすればローリエが乾燥するので、そのままちぎって煮込み料理などに入れて使えるのだそう。可愛いし、魔よけにもなるし、しかも食べられるし、一石三鳥のリースです♪
「意外とね、簡単に出来ちゃうのよー。」
という初枝さんの言葉どおり、短い時間で完成しました!さっそくキッチンに飾って、ちょっとずつ料理に使いたいと思います。

マルナオ園 市川初枝さん マルナオ園 市川初枝さん

最後に、この日ずっと明るく楽しくお話しながら教えてくださった初枝さんに、お話を伺いました。
「鳥や天災の被害やぶどうの世話は大変だけど、来園してくださったお客さんに今年も来たわよ、と言ってもらったり、笑顔が見られたりすると、やっていて良かったなと思うよ。それに、おいしいから、と口コミで広めてもらうことがよくあって、友達が友達を呼んでくれて、私ほんとうにお客さんに恵まれていると思う。」
畑やお庭の数え切れないほどのハーブやお花の種は、ご自分で集めるものもあるけれど、お友達やお客さんが世界各地から持ってきてくださるものも多いそう。きっと明るくて元気な初枝さんのもとには、人も植物も集まってくるんですね。初枝さん、今日はありがとうございました!

マルナオ園 市川初枝さん

*お昼にいただいたじゃがいも「レッドムーン」の、ぐうぜんハート型になったものを見せてもらいました。こんな可愛い形でも、日本では市場に卸す場合は規格(大きさや形などの決まり)から外れてしまって売れないと聞いたことがあるのを思い出しました。もったいないなぁ・・・と思っていたところ、後日、
「(茅ヶ崎の)近くでレストランをやっている人がね、この間、ハート型のが可愛いからくださいって、3つも持っていかれたのよ。お店に飾るんですって!」
と初枝さんが教えてくださいました。なんだか嬉しい♪今度、そのレストランにハートのレッドムーンに再会しに行きたいと思います。

目次

春
前編  後編

夏
前編  後編

秋
前編  後編

冬
前編  後編



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