茅ヶ崎の美しいお祭り

浜降祭2015 密着!小和田 熊野神社

西浜海岸

茅ヶ崎の4大祭りの一つ「浜降祭」。2015年は、34神社が参加しました。西浜海岸に集結し神事が行われますが、それはそれは圧倒的なパワーを感じる光景です。見物客も入り混じり、複数のお神輿がぶつかりそうになるなど、時にはヒヤッとする場面もあり。

34神社39基のお神輿が夜明けとともに「どっこいどっこい」と海岸に集まり、波打ち際を行ったり来たり、砂浜を練り歩きます。また海に入って禊をする様子はインパクト大。もちろん海でも盛り上がりますが、それだけではありません。そのお神輿を担ぐ各神社の氏子や友好団体の人々の、この浜降祭にかける熱い想いは、神社から海までの道のりを一緒に歩むことでしっかりと伝わってきます。お神輿を担がない人でも、まだ暗い時間からの「宮立ち」から、海岸での合同祭まで、一つの神社と一緒に行動してみることで、このお祭りの真髄に触れることができるかもしれません。

今回、「おいしい茅ヶ崎」では、小和田の熊野神社に密着取材をさせていただきました。

 

熊野神社
深夜3時の「宮立ち」に向けて、氏子の皆さん、そして友好団体の皆さんが1時頃から神社に集まり始めます。まだ真っ暗な神社に提灯の明かりが灯り、これから始まる遷霊祭・発輿式の神事に向けて、厳かに準備が進められます。

この日のためにきちっとアイロンをかけた半纏(はんてん)や鯉口(こいくち)を身にまとい、白い足袋を履いた氏子の皆さんの格好良さには惚れ惚れします。普段自分たちを見守ってくださっている地元の神様の御霊をお神輿に遷し、海まで練り歩きそして海で禊を行うというお祭り、浜降祭。地域の人々がいかに地元の神様を大切にしているかが伝わってきます。

遷霊祭・発輿式の神事は、熊野神社の宮司により進められます。無事お神輿に御霊が遷され、神事の後一本締めをしたところでいよいよ海へ出発となります。

▼映像【神事】

このお神輿を担ぐのは地元の小和田松和会が中心。往路復路の長い道のりを担ぐ助っ人として、友好団体も担ぎに来ています。氏子だけでお神輿を担ぐには人出が足らないこともあり、お互いに助っ人として交流しているそう。驚いたことに、20以上の友好団体が手伝いに来ていて、しかも近隣の地域だけでなく、東京や川崎の団体も来ていました。たくさんの人にお神輿が見守られ、海へと出発していきます。深夜にもかかわらず、多くのご近所の方も宮立ちを見に来ていました。

そして「どっこいどっこい〜どっこいそ〜りゃ」の掛け声とともに、力強く海へ向かって行きます。お神輿の方向をうまく誘導するために音頭を取ったり、車の誘導をしたり、お神輿を担ぐ人以外にもたくさんの人が関わります。また“甚句(じんく)”と呼ばれる伝統的な歌謡を歌いながらお神輿の進行をサポートし、盛り上げる役割の人も。こうした地元に根づいた伝統がしっかりと残っていて、若い人がこういった歌っている姿を見ると本当に感動します。

熊野神社 宮立ち

各神社を出たお神輿は各地域を練り歩きながら祭場を目指します。

かつては神社から祭場まで担ぎ手が代わる代わるお神輿を担いでいたそうですが、近年担ぎ手の減少により全行程を担ぐことが困難になっているそうです。

今回取材した熊野神社も担ぎ手の減少を受け、祭場への行程の途中はお神輿をトラックに積んで運んでいました。

今回、こういった現場に居合わせたことで、改めて伝統は多くの人に支えられて受け継がれてきたものだと実感するとともに、各地域の多くの若い世代の方々が再び地域の行事に参加し、伝統を引き継いでいってほしいと思いました。

トラックに載ったお神輿を見送ると、今度は担ぎ手たちが貸切バスで西浜海岸に移動します。既に4時近く、お神輿と離れるとどっと疲労が押し寄せるのか、窓により掛かる姿が多く見られます。浜竹のスーパー前から西浜海岸まで、つかの間の休息です。

西浜海岸には既に先に到着しているお神輿もあり、ギャラリーも多く、露店もたくさん出ています。祭場に入場すると、実行委員会のアナウンスで「おめでとうございます!」の声。朝日も昇り、祭場のテンションは更にあがります。

浜降祭

ここからはお神輿同士のせめぎ合いとでもいう感じで、あちこちから「どっこいどっこい〜」の掛け声と独特の甚句が聞こえてきます。海岸に入って来る際にくぐる一の鳥居、祭場に入る際に二の鳥居、最後に海のそばの三の鳥居をくぐって、各神社の所定の位置に向かいますが、まさに「練り歩く」とはこのこと、ギャラリーを押しのけ他のお神輿とぶつかりそうになるぎりぎりまで近づき、そしてまた離れるを繰り返します。

お神輿初体験

今回このレポートを担当した市川も、この時初めて、お神輿を担がせてもらいました。小和田松和会の副会長、椿さんが絶妙なタイミングでお神輿の一番前に放り込んでくださいました。外で見ているのと、お神輿を実際に担いでみるのとでは、全く熱量が違います。お酒と汗と海の匂いの入り混じったあの独特な感じ、しっかり掴まっていないとすぐにでもはじき出されてしまいそうな緊張感。そして何よりも、担いでいる人たちの大きな声ととびきりの笑顔。今、お神輿を担いでいることが楽しくて楽しくて仕方ない!といった感じです。終わりを告げられなければ、担ぎ手が代わる代わるお神輿の中に入って、永遠に担ぎ続けてしまいそうな勢いです。

友好団体の人達とは、特に練習などはせずに浜降祭で一緒にお神輿を担ぐそうですが、こんなにも息が合って、一つのものを作り上げているような感覚になるのは、やはり神様の御霊を載せたお神輿だからでしょうか。 祭場についたお神輿が奉納されると、一本締めが行われ、担ぎ手の体から湯気が出ていそうなほど盛り上がって見えるお神輿周辺の空気がピリッと締まります。

小和田熊野神社は早めの祭場入りなので、まだまだ続々とお神輿が入場してきます。なかなか所定の位置にお神輿を奉納せずに浜辺を練り歩き、中には腰や肩まで海に浸かるほど大胆に海に入るお神輿もあり、ギャラリーを盛り上げます。

午前7時前までには、すべてのお神輿が位置に着き、合同祭が執り行われます。浜降祭の起源については、諸説がありますが、天保9年(1838)、寒川神社の神輿が例年春、大磯町国府本郷で行われる祭礼、国府祭(こうのまち)に渡御※1した帰り道、相模川の渡し場で川に落ちて行方不明に。その後、南湖の網元がご神体を発見し神社に届けたことを機に、毎年同神社の神輿が「お礼参り」として南湖の浜に赴き、「禊(みそぎ)」をするようになったと言われています。鶴嶺八幡宮で行われていた「みそぎ」の神事と合わさり、浜降祭と呼ばれるようになり、今では30を越える神社が参加して合同で式典が行われています。
神事が始まると、先程までの喧騒が嘘のように静まり返り、地域の神様の存在と、それを大切にしている氏子※2の皆さんの結束を感じます。ギャラリーはカメラ片手に見物したり、この日を楽しみにしていたと思われる本気モードのカメラマンの方たちがところ狭しと撮影しています。シャッターチャンスを逃すまいと禊のシーンでは一緒に海へ入る気満々の水着のカメラマンさえいたほどです。

※1「渡御(とぎょ)」:お神輿に神様を遷して目的地へ往復すること
※2「氏子(うじこ)」:地域の神社の祭祀圏を構成する人達のこと

 

▼映像【神事】

厳かに神事が執り行われた後は、また威勢よく地域ごとに「お発ち」となります。ここでまた海に入るお神輿もあり、ギャラリーも入り乱れて「どっこいそ〜りゃ」の掛け声とともに砂浜を行ったり来たり。こうして再び鳥居をくぐってそれぞれの神社へと戻って行きます。

 

▼映像【禊】

浜降祭

この浜降祭、本当に美しいお祭りです。朝日に照らされるお神輿と富士山、熱気と結束力。そして参加している皆さんがこの上なく楽しんでいる様子。これからもずっとずっと受け継がれていってほしい茅ヶ崎の伝統行事です。

赤:徒歩での移動ルート
青:トラックでの移動ルート


詳細情報

同じカテゴリの記事を見る

わいわい市
生産者直売所
情報募集中