地元密着、地産地消の中華料理
2003年にオープンの本格中華料理店、「弄堂里(ロンタンリ)」。「弄堂」とは、上海やその近郊に見られる独特の横丁のこと。「里」は、単語の後ろにつけると「~の中」という意味で、「弄堂里」は「横丁(路地)の中」になります。店内に一歩足を踏み入れると、そこはまさに中国といった感じです。オーナーシェフは上海出身、横浜中華街の有名店で料理長を務めた後独立し、縁あってこの茅ヶ崎にお店を出店。シェフもお気に入りの赤い高い天井には、昇竜が描かれ、店内はカジュアルな印象。本格中華を提供していながらも、とてもなじみやすいフレンドリーな雰囲気です。
中華料理といえば、定番の料理がメニューを独占、季節感や旬からは縁遠いのでは、と思っていたら大間違い。「弄堂里」は中華料理のイメージを覆す、まさに地元密着、地産地消の料理店だったのです!
「畑の人」との出会い
お店をオープンして間もない頃、まだお客さんの入りもまばらで、シェフもよく茅ヶ崎市内を南へ北へ、自転車でウロウロしていたそうです。そこで茅ヶ崎の畑の多さに気がついた、とのこと。直接作業をしている農家に声を掛け、少し分けてもらってはその味に感動し、お店に仕入れることに。中華街にいた頃も、仕入れを担当していたが、メニューに必要な素材を仕入れる、というのが通常の流れ。今では円蔵の高橋芳嗣さんから素材を仕入れ、その素材ありきでメニューを考えているそう。高橋さんからの紹介で、ひらまき園さんのパクチーも利用するように。まさに、地元の旬のお野菜を活かした本格中華です。今ある素材を使えば、旬の料理の出来上がりです。
もちろんオープンした頃は、地元産の野菜を使うことは、全く考えておらず、茅ヶ崎に出店した繋がりで、自然とそうなっていったそうです。料理の味もオープンから少しずつ変化し、濃いめの味が好まれる、茅ヶ崎の人向けになっていったそう。
素材ありきでメニューをつくる
野菜だけではありません。お肉料理も、「ちがさき牛」を使ったお料理も提供しています。茅ヶ崎の斉藤牧場が2011年に始めた牛肉の直販は、小規模ながら様々な部位を市内の飲食店や個人が買い付けています。そこでも弄堂里スピリッツを発揮、「今あるもの」を活かし、野菜と同じように、今手に入る部位ありきでメニューを考えていきます。
調理方法に対するこだわりはいくらでもあるけれど、最も大切にしているのは、こだわっている人の「こだわり」を活かすこと。素材を提供してくれる人と、お客さんの中継地点としての役割を担っているというシェフ。「料理人はお客さんに育てられる」というご自身の言葉通り、お客さんとのコミュニケーションも図っています。特に年一回、シェフの故郷へ帰る際は、一緒にお客さんも連れていくツアーを開催しているそう。直接お客さんとコミュニケーションが取れるいい機会でもあり、自分のルーツや本場を見てもらうこともできる、楽しい取り組みもしています。

お客さんの誇りに
住まいは横浜のオーナーシェフ。だからこそ、茅ヶ崎を客観的に見ることができ、お客さんや素材の作り手を喜ばせることができるのかも知れません。最近では、地元産のシラスを使ったオリジナルの辣油もつくり、お店や催事などで販売しています。
誰かが茅ヶ崎に遊びにきた時に連れて行きたいお店になれるよう、お客さんの誇りになれるお店を目指しているという、オーナーシェフ。どこのまちにでもある中華料理だからこそ、湘南発の中華として何かやっていきたいと、PRからフロアーまでこなす奥様と一緒に語ってくださいました。